山梨大学 地域人材養成センター

女性のための復職とステップアップセミナー

令和5年度「女性のための復職とステップアップセミナー」ライフデザイン講座Ⅴを開催しました

2023年10月10日

 令和5年9月29日(金)、甲府キャンパス 工業会館3階会議室において、女性のための復職とステップアップセミナー「ライフデザイン講座Ⅴ」を開催しました。講師に教育学域 准教授 鴨川明子先生を迎えて、「ワークライフキャリア」についての講義を行いました。

 まず、鴨川先生から「復職を前に、あなたは、いま、どんな気持ちでいますか?」という問いかけがあり、鴨川先生ご自身の復職後の気持ちや経験談をご紹介いただいた後、受講生一人ずつ自己紹介を行い、復職に向けて「ワーク」と「ライフ」を踏まえたそれぞれの思いを共有しました。

 次に、SDGsの17の目標のうち教育のジェンダー平等は日本で達成できていない目標の一つであることを皮切りに、令和2年度に山梨県が行った男女共同参画に関するアンケート調査結果を用い、山梨県の女性の現状についての説明がありました。特に、山梨県における男女の地位の平等感について、約8割が「男性優遇」社会と感じている一方で、学校生活は約6割が平等であると感じている結果が示されました。しかし、四年制大学への女子の進学率や、教育現場(公立小学校)における管理的立場の女性教員割合が全国ワースト1(2021)である現状と、その背景の一つとして「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」があることを説明いただきました。

 さらに、鴨川先生ほか研究チームが取り組まれている、「山梨県の小中学校における女性管理職を増やすための、ジェンダーに配慮した研修プログラム」で使用されている「ワークキャリアシート」(本セミナー仕様)を用いワークショップを行いました。受講生から、5年後、10年後、〇年後における「ワークプラン(働き方の計画)」と「ライフプラン(生き方の計画)」についての1分間発表の後、鴨川先生からも、今後の研究活動やライフプランについて紹介いただきました。

 最後に、「目標に向かって進んでいく中で何か選択しないといけない場面で、迷ったときは『自分にしかできないこと』って何だろう?と考えるようにしている。仕事は代わりがきくこともあるので、子どものことを優先にするときも意外に多い。また、先輩ママからの『60点でいいのではないか』という言葉を大事に、失敗したことや良かったことなどを含めて様々な目標をストーリーでつなげていきたい。戦略を持って、ワークとライフを自らデザインしていってほしい。」というメッセージをいただきました。

 受講生からは、「5年後、10年後~を書き出すことで、今まで漠然としていた目標とする自分の姿を再認識できた。鴨川先生にお話ししていただいた比較教育学がとても興味深く、その一つのマレーシアのジェンダーギャップには驚いた。日本ももしかしたら同じ状況になるのか、教育はジェンダーだけではなく経済の問題も切っても切れないのかと視野が広がった。」「世界を見渡せば男性の教育機会が女性より少ない国があると知り、性別で何かを決めつけるのはもう古いと感じた。今後のワーク・ライフを考えると不確定な要素ばかりで不安になるが、視野を広く、自分を狭いところに追いやらず絶対すてきな人になるのだと決意するとともに、自分を大切にして人生を楽しみたい。」などの感想をいただきました。

    講師の鴨川明子先生
     講義会場の様子
男女の地位の平等感についての講義
ワークとライフの目標を発表する受講生