山梨大学 地域人材養成センター

女性のための復職とステップアップセミナー

令和5年度「女性のための復職とステップアップセミナー」ライフデザイン講座Ⅳ(午後の部)を開催しました

2023年10月2日

 令和5年9月20日(水)の午後、甲府キャンパス 工業会館3階会議室において、女性のための復職とステップアップセミナー「ライフデザイン講座Ⅳ」(午後の部)を開催しました。講師に教育学域 准教授 小野田亮介先生を迎えて、「動機づけと行動の心理学」についての講義を行いました。

 まず、「動機づけ研究」についての講義があり、日本や将来に対する漠然とした不安感があり生き抜くために自分のやる気や意欲を高める方法を知りたいというニーズが増えているという説明がありました。また動機づけの高さは絶対的善ではなく、「すべてのことにやる気を出していたら疲弊してしまう。大事なのは求めているときにやる気を高めていけるかということ。有限の体力や時間を何に使うかリソース配分の仕方が大事。」という説明がありました。また、自由にできる時間(3次活動)は1日4~6時間でリソースがもともと少ないという現状の把握を行いました。

 次に、リソース配分の観点から「期待×価値理論」に関する講義があり、期待と価値の両方が高いときに動機づけも高まるが、価値が高い活動ほど難しい場合が多く、期待を高めるため「自己効力感(できる感)」の理論が必要になると説明がありました。そのあと、受講生一人ひとり日曜日の過ごし方を計画するワークに取り組み、価値が高くて期待が低い事案への戦略として、自分目線で計画を立てることの重要性を学びました。「現在、様々な情報源から『結果期待』を刺激するキラキラした情報が散乱しておりどうすれば成功するかを教えてくれるが、『あなた』にできるかどうかは教えてくれない。一方で『あなたでもできそうだ』と教えることで自己効力感を刺激する情報も多いが、確実な効果があるかは教えてくれない。その結果できなくて疲弊してしまう。大事なことは自分にできるかどうかを考え、『自分のための計画』を立てること。」とメッセージがありました。

 最後に、自己効力感の高め方についての講義があり、成功経験を増やすためには計画設計が大切であり、計画を遂行するための自分なりのルールを決めたり、難しことは小分けにして取り組んでみたりするといった戦略が大事であることを学びました。講義後、受験生の子どもを持つ受講生から「子どもに勉強してほしい時、どう働きかけたらいいのか。」という質問があり、「一度、子ども自身の受験勉強に対する価値づけを明確化し、それが親と同じなのかどうかを確認できると良い。また実際に勉強する時間を割り振ってあげることや、勉強している様子をしっかり見ているというメッセージを伝えたり、できていることに関して成功体験を自覚させたりすることも有効だろう。」「受験までの残り3カ月間で得られる『できる感』が一生を支える『できる感』になることを真剣に伝えることも大事。」とエールをいただきました。

 受講生からは、「価値の自覚化と相対比について、今まで自身になかった見方を知り参考になった。 成功経験が自己効力感を高めることになるので、失敗しにくい計画設定が大切であるという考え方は大変参考になった。」「限られた時間や体力を適切に配分し直すことで生活の最適化を図り幸福度を高めていきたい。自己効力感の強化について、まだ成功経験獲得のためにできることがあると再認識できた。」などの感想をいただきました。

   講師の小野田亮介先生
     講義会場の様子
   ワークに取り組む受講生
     質疑応答の様子